私たちの宣教使命と「共有の確信」

 世界的な交わりと、各地の美しい多様性の中、メノナイト世界会議(MWC)の「共有の確信」は、加盟教会においてどのように用いられているでしょうか。

本号の特集記事では、世界中の教会が証ししているアナバプテスト・メノナイトの信仰のかたちや流れを取り上げました。当コラムでは、さまざまな地域の教会指導者に、MWCの「共有の確信」がそれぞれの文脈でどんなかたちと意味をなしているか、それぞれの観点から語っていただきました。

私たちの宣教使命と「共有の確信」

アナバプテスト/メノナイトのキリスト教徒である私たちの宣教は、私たちが認識して告白するアイデンティティと強く結びついている。(アルフレド・ニューフェルドの著書)『われらがともに信じること:アナバプテスト系教会の共有の確信の探求』が、私たちのアイデンティティと、主が私たちに委ねられた働きを、信仰共同体に伝えていくために何が必要なのかをまとめているのはそういう理由からである。

メキシコでは、社会的、経済的、文化的な不正義が強まっている。暴力の犠牲者が毎日出ている。そんな状況でイエスを証しするには、自分が何者で、誰からどんな召命を受けているかが明確でなければならない。『われらがともに信じること』はこうした問いに明確に答えていると思う。とりわけ第7条にあるとおり、「世界的な信仰共同体として、私たちは国籍、人種、階級、性、言語の壁を乗りこえます。私たちは悪の力に妥協せずこの世に生きるよう努め、他者に仕えることで神の恵みを証しし、被造物を守り、すべての人がイエスを救い主と知るように招きます。」

メキシコの私の教会(メキシコ福音アナバプテスト・メノナイト教会会議、CIEAMM)では、各個教会と個々の信仰共同体とは、イエス・キリストのみ国の種であり実りであると信じている。この確信に則り、私たちはイエスが宣べ伝えた平和と正義と和解の福音を、包括的(総合的)に理解して実践したいと考えている。それゆえ、イエスは町や村を隈なく巡り、み国の福音を宣べ伝えたとき、あらゆる病気と患いを癒されたのである(マタイ9:35)。

同様に、私たちはコミュニティや社会生活のそれぞれの領域で、まったき癒しをもたらす者とならなければならない。イエスと同様、私たちの宣教もまたこの世で具体的な形をとるべきなのだ。常日頃思い起こさせられるように、父がイエスをお遣わしになったとおり、イエスも私たちをお遣わしになる(ヨハネ20:21)。

CIEAMMでは、『われらがともに信じること』が述べるとおり、あらゆる各個教会が聖霊の力を受けていると考える。聖霊はキリストの霊であり、「憐れみ深い宣教」へと私たちを招き、また力を与える。イエス・キリストは、人々が痛み苦しむ状況を自分自身のものとして受けとめ、人々を憐れんだ。憐れみとは一時的に痛みを感じることではなく、苦悩のうちにある人と一体となることであり、人々を深く傷つける痛みを和らげようと、奉仕の行いへと突き動かされることである。

イエスは憐れみ深い方であり、苦しむ人々と深く一体となって行動を起こされた(マタイ9:36、同14:14、マルコ6:34、マタイ15:32-37、ルカ7:12-15)。私たちがイエスに従うというなら、私たちもまた憐れみ深くあるべきである。

CIEAMMでは、『われらがともに信じること』を紙の書籍と電子書籍とで準備し、加盟する各教会で様々な形で学んでいる。各章を用いて日曜学校の教材としたり、7つの各条文を説教のテーマにするところもあり、グループ学習も推奨している。『われらがともに信じること』を学びの手引きとして、新しい教会員全員に配布するのが私たちの目標である。

紙媒体にせよ電子媒体にせよ、アナバプテストのアイデンティティと宣教についてスペイン語で読める資料はごくわずかである。それゆえ『われらがともに信じること』は、私たちを含む世界的なアナバプテストならではの信仰をよくまとめたものとして、とりわけ低学歴で読書や系統だった勉強経験に乏しい教会員の学びに役立てられている。

CIEAMMのメンバーにとって、「あらゆる部族、国語、民族、国民の中から」(黙示録5:9)あがなわれた人々からなる、キリストを中心とした地球規模の信仰共同体に自分も属していると知ることは、豊かな祝福である。このアイデンティティの原則を中心として、和解の共同体を建て上げて、イエス・キリストが教えた平和の福音を実践するのである。

CIEAMMに所属する教会共同体は、「神の言(ことば)を権威とし、イエスの模範に従う弟子を育み、聖霊に導かれて現実のものとされる家族としての教会」をめざしている。

「イエスの模範に従って平和の福音を反映させ奉仕する」のが私たちの使命である。『われらがともに信じること』を聖書的・神学的基礎として、私たちはCIEAMMの使命と目的を告白する。CIEAMMの人々にとってこの文書は、メキシコの社会的、経済的、宗教的文脈でアナバプテストとして考え行動するための道具なのである。

カルロス・マルチネス・ガルシア氏はメキシコのジャーナリスト兼牧師。メキシコ福音アナバプテスト・メノナイト教会会議(CIEAMM)の議長を務める。

 

You may also be interested in:

Shared Convictions

神の恵みにより、私たちはイエス・キリストにある和解の福音を生き、また告げ知らせるよう努めます。いつ、どこにおいてもキリストの一つのからだとして、私たちは以下のことを信仰と生活の中心とします。 神は父、子、聖霊として私たちに知られ、罪におちた人間を回復するために、一つの民として忠実に交わり、礼拝、... 続きを読む